未来を見るなら、君と一緒に
でも、あたし達の隣を流れるなんの変哲もない川なのに。
今この瞬間、輝いているの。

陽くんにプロポーズされたこの川沿い。
あたしにとっては、最高の思い出スポットになりそう。



「お願いします」



箱をあけたままあたしの返事を待っている陽くんに、そう答えて左手を差し出す。



「よかった」



ニッコリと笑って、薬指に指輪を嵌めてくれる。



「わぁ、ピッタリ!」


「寝てる間に図った」



わざわざ図ってくれていたんだと、それも嬉しくなる。

この期間、彼はどんなことを思って過ごしていたんだろう。いつから意識したんだろうか。

あたしとの結婚を意識して、指輪を用意して、タイミングを狙って。

思えば、今日はどこかソワソワしていた。
何かを伺っている様子に思えていた。

今、考えたらプロポーズのタイミングを狙っていたんだね。

そんな彼のことがどうしようもなく愛おしくなる。



「陽くん、ありがとう。だいすき」



今日の結婚式、羨ましいとは思った。
でも、それは賢晴の隣にいるのはあたしがよかったとか、そんなんじゃない。

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