未来を見るなら、君と一緒に
「ここにもいれない」



あたしはそう悟った。
あたしが生まれ育った実家で、あたしのことをよく知る家族なのに。
そんなお母さんまでも賢晴の味方だった。

あたしは、もう誰のことも頼らないでいようと決めた。
少し、実家で静かにして、お母さんが夕飯の買い物に行ったすきに家を出た。

誰にもなにも知られたくなかったから。
だから、新しい家も元の家から少し離れたところに決めた。
幸い、大学の頃からのバイトと就職してからの給料で貯めていた貯金があった。
だから、しばらくは困らないだろうと。
家に籠ることに決めた。

誰にも会いたくない。
誰とも話したくない。

元の家はすべて大家さんに片付けてもらった。
家具とかは、すべて捨ててもらった。

住所なんか教えたりしたら、賢晴にバレてしまいそうだったから。
それほど、あたしは賢晴がもう怖かった。

その時点で、賢晴に対する感情は愛ではなく、恐怖に変わっていた。

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