未来を見るなら、君と一緒に
『そうだね、初日はあたしが迎えにいくよ。開所は1週間後だから、その日からの勤務でお願いしてもいいかな?』


「はい……」



願ってもいないことだった。
もう、理学療法士として働くことなんて無理だって思っていた。

こんな条件のある人間、職場的にも面倒な存在のはずなのに。
あたしが、断ろうとしても瑠奈さんは引かないでいてくれた。

その事がすごく嬉しかった。



「また、人を信じることができるのかな……」



でも、まだ不安はあった。
だって、ボディーガードしてくれる人が変な人だったらとか。

瑠奈さんが言ってくれる人だから、悪い人じゃないってわかってる。

でも、賢晴のことがあってから男の人が怖い。
あぁやって信じてまた裏切られたら……ってそっちの思いが強い。

こうなってしまうと、出会う全ての人にかまえてしまう。
こんなんじゃ、なにも上手くいかないってわかってるのに。



「しっかりしなきゃ……」



大好きな仕事がまたできる。
それだけで、充分だと言い聞かせる。

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