未来を見るなら、君と一緒に
「あたし、もう陽くんの先輩じゃないんだから……先輩はいらないよ」



着替え終えて、ミーティングルームに向かうと、陽くんがテーブルで何やら読んでいたのでその隣の椅子に腰をかける。



「じゃあ……潤」


「わ、呼び捨て!?」


「え?あ、ごめんなさい……」



あたしの言葉に苦笑いをする。



「あはは。うそうそ。潤でいいよ、そして敬語もいらないよ!」


「うん。潤」



満足そうにもう一度名前を読んで、さっきまで読んでいた資料に目を向ける。



「なに、読んでいたの?」


「ん?学校で配られた資料。ほら、ここ」


「ん……?」



陽くんの見ている資料に顔を近づける。



「潤……ちょっと近いかな」


「あっ!ごめん!目が悪くて……っ!」



陽くんの言葉にハッとなって慌てて陽くんから顔を離す。



「いや、俺もごめん。なんか……照れちゃった」



恥ずかしそうに頭をかく姿は本当に可愛いという言葉がぴったりだ。

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