未来を見るなら、君と一緒に
どの人もみんな優しい目をしていて、すぐにこの人たちを信じたくなった。
でも、それと同時にまた裏切られたらどうしようと不安が出てきてしまう。



「俺は、北田陽」


「知ってる」



何を思ったのかみんなと同じように自己紹介をしてくる陽くんに吹き出してしまう。



「……笑ってろよ、そうやって」



ポンッとあたしの頭に手を乗せる。



「……っ」



陽くんは気づいてたんだ。
あたしが不安に思ってること。

そして、その不安を拭おうとしてくれてる。



「指導頼みますよ?先輩」



イタズラな笑みを浮かべる陽くん。



「もう……っ、ビシバシ指導してやるんだから」


「くーっ!こっわ!」



明るい陽くんがあたしのことを引っ張って行ってくれる気がした。



「ありがとう。陽くん」


「ん?俺はなんもしてねぇよ」



あたしに何があったかは知らないだろう。
でも、ボディーガードのこともあるし、なにかがあったことは感じ取っているんだろう。

本当に陽くんの存在はありがたかった。

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