未来を見るなら、君と一緒に
「実は冷蔵庫になにもないことに帰ってから気がついて……」


『おお、じゃあ本当にご飯どうしようか悩んでたんだ?』


「うん」


『じゃあさ、俺の家にこない?』


「陽くんの家……」



誰かの家にいくなんて、すごく久しぶりだった。
それも男の子の家だなんて。

よく、賢晴とお互いの家を行き来して、ご飯を作り合ってたななんて思い出す。

賢晴のことなんて、すごく嫌いなはずなのに。
どうして思い出すことは幸せな記憶ばかりなんだろう。



「いらっしゃい」



〝嫌じゃなければ〟
そう言う陽くんの好意に甘えて、ご飯をご馳走してもらうことにした。

このままだと、明日の朝もたべれないところだったから陽くんには感謝しかない。



「潤って、もしかしてあまり食べてなかった?」


「うん……しばらくあまり食べてなかったから、冷蔵庫の中とか気にしてなくて」


「ちゃんと食べなきゃ。俺、結構料理するんだからこれからはめっちゃ食わせるからな?」



ぽんっと頭を撫でる陽くんになんだか安心感を覚える。

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