未来を見るなら、君と一緒に
「ん……おいしい!」



テーブルの上に置かれた、カルボナーラ。
1口、口にいれるとふわーっと広がる温かみのある味。
素直に出てきた感想だった。



「ありがとう。そう言ってもらえると作りがいがあるよ」


「すごいね!絶対あたしより料理うまい!」


「はは、今度は潤の料理を楽しみにしてるよ」



満足そうに微笑む陽くん。



「あたし、そんなに美味しいもの作れないよー?でも、どうやって覚えたの?」



いくら1人暮らしをしてるとはいえ、ここまで美味しいものを作れるのは本当にすごいと思う。



「う、ん……。前に教えてくれた人がいて、ね」



そう話す陽くんはなんだかとても苦しい表情をして目の前のカルボナーラに目線を落とす。

瞬間、これはきっと陽くんにとってなにか苦しい記憶なのかもしれないと悟る。



「あ、なんか言いづらいこと聞いちゃったね……」



陽くんの雰囲気が明らかに変わった気がして、その話辞めるよう、区切りをつける。

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