未来を見るなら、君と一緒に
「どうするつもりなの……?」


「俺の家に行く」



話しながらもう歩き出してる。



「……いやだ。行きたくない」


「いいから黙って来いよ。ほら」



といいながら、止まったのは駐車場。



「いやだ、乗らない」



乗ったら最後だって、そのぐらいわかる。
はやくこの手を振りほどかないと。

でも、賢晴の力が強すぎて、振りほどこうとしても全然動かない。



「いいから、乗れ!」



いつも乗っていた賢晴の車。
その車の後部座席に押し込められて、すぐに自分も運転席に乗り込む。

本当はすぐにドアを開けて逃げたかったけど、手が震えて無理だった。



「どうして、こんなこと……」


「お前が大人しく言うこと聞いてりゃいいんだよ」


「……っ」



ハンドルを切る姿はいままでとまったく変わらないのに、本人は別人のようになってしまってる。

相変わらず格好よくて、大好きだった頃のままなのに。
どうして、こうなってしまったのだろうか。



「ほら、懐かしいだろ」


「え……?」



車が停まったのは、賢晴が大学2年生から住んでいたアパートの前だった。

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