未来を見るなら、君と一緒に
「お前は俺のことだけ見てればいいんだよ!」


「ちょっ……賢晴!」



そのままベッドに投げられ、あたしの上に賢晴が跨る。



「怖いか?」


「なに……やめてよ……」



賢晴が何をしようとしているのかなんて、そんなのもちろんわかってる。
でも、こんな風に荒くなった賢晴は見た事が無かった。



「やめるかよ、お前は俺のだって思い知らせるだけだ」


「お願い……こんなんじゃ、賢晴のこと……」


「好きになれないってか?なろうともしてねーくせによく言うよ」


「賢晴っ!……んっ」



賢晴の名前を呼ぶあたしの口を自分の口で塞ぐ。



「俺のこと好きって言ったらやめてやる」


「す……」



言おうと思った。
それで解放されるなら言おうと思った。

でも、その言葉を言おうとした瞬間にチラつく陽くんの顔。

だって、あたしは気づいたんだ。
誰のことが好きなのかを。

自分が今、どんな状況にいるのかもわかってる。
それでもその言葉を別の誰かになんて使いたくない。

大切な言葉だから。

< 57 / 176 >

この作品をシェア

pagetop