未来を見るなら、君と一緒に

✱いつかのその時は

「光、置いてくぞ!」


「待ってよー。髪の毛とか直してんだから」



鏡の前に立って、前髪なんかを入念にチェックしている。



「若作りかよ」


「だってみんな、ひとつしたなんだよ?少しは若く見えるようにしなきゃ」



潤が体も心もカウンセリングを受けてきちんと治して、大学にまた通い始めて1年がたつ。

4月。
俺と潤は今日から大学4年生。
ヤスやほかの一緒に入学したやつらも3月に卒業していった。



「ていうか、陽。そろそろいちいち迎えにこなくてもいいよ?」


「え?」


「もうあたし大丈夫だから」



唖然としてる俺の前でニッコリと笑う。

俺は去年大学に復学したときから一人暮らしをしている。
でも、光が一緒に行かないと嫌だと泣くから、毎朝こうして迎えに来ていた。

といっても駅までだけど。

あのことがあってから光は前よりいっそう誰かと一緒にいることにこだわった。

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