未来を見るなら、君と一緒に
「潤、帰ろうか」



すでに着替え終わって椅子に座っている潤に声をかけて、ふたりで施設をあとにする。

潤とこうしてふたりで帰る日なんて、絶対に訪れないと思っていた。
でも、隣に潤が歩いている現実。

ふとした瞬間に頬が緩みそうになって、なんとか引き締める。



「潤さ、なにかあったんだよね?」


「まぁ……ね」



同じマンションのエントランス。
玄関のドアを跨いだとき、ふとそう口にすると潤の顔は引き攣る。



「詳しくは聞かないけど、俺は潤の味方だから」



向かいに立って、俺の顔を見上げてる潤の頭を撫でる。



「ありがとう……」


「何かあったら俺を頼って。俺が潤を守ってあげるよ」



──守ってあげるよ。
なんてクサいセリフ。
俺が潤に言う日がくるなんて。

お互い言葉を発することもなく、ただ見つめ合う。
目の前に潤がいるだけで、ドキドキなのに見つめ合うだなんてすごいことだ。



「……っ」



自動ドアの開く音がして、そちらに目を向けた潤の動きが止まる。

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