未来を見るなら、君と一緒に
「潤、いま仕事終わったんだ?」



自動ドアの前に立っていたのは、他でもない賢晴さん。



「賢晴さん……」


「あれ、陽?」



気づいた賢晴さんが俺を見る。

……ってか、このふたり。
まだ別れたわけじゃなかったんだな。

勝手に別れたと決め込んでいた自分が恥ずかしくなる。



「俺、潤……先輩と同じ施設にいるんです」



俺のせいで潤の立場が悪くなっては困るのですかさず、そう言う。



「へー、そうなんだ?」


「疲れてるから今日はもう家に帰るね」



賢晴さんが潤のことを見るや否や、苦しそうな顔になってオートロックを解除する。



「あ、俺も行きます」



賢晴さんにペコッと頭を下げて、開いたドアから中に入る。

ここに来てからも、ドアの中に入ってからも
賢晴さんはにこにこしていて、なんだか不気味だった。



「賢晴さんと一言も話さなかったけど、喧嘩でもしたの?」



大学時代の2人とはまったく違う空気が流れていたように思える。



「賢晴とはもう別れたよ」



潤の言葉は俺の心臓をどくりと鳴らせるには十分だった。

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