君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
再会は突然に

「はー。月曜は憂鬱よね。次の休みまで五日もあるんだもん」


朝から大きなため息をつくのは、三谷(みつたに)商事のライフテクノロジー事業部で営業として働く私、北里葉月(きたざとはづき)の同期、森本静香(もりもとしずか)だ。

先ほどエレベーターで顔を合わせ、一緒に事業部のフロアに向かう。


三谷商事は、明治時代の紡績会社に端を発した会社。

当初は紡績業で日本の産業をけん引してきたが、戦後、石油や鉄鋼そしてインフラ事業など手広く行うようになってきて今や最大手の総合商社として君臨している。

我がライフテクノロジー事業部は、医薬品や化粧品、はたまたその原料などの輸出入や仲介を得意としていて、決して大きな事業部ではないが、売り上げの伸び率はダントツなのだ。

しかし異動や転勤も多く、大学を卒業して三谷商事に就職してから二十八歳になる今年まで、ずっと同じ部署にいる同期は彼女だけになってしまった。


「昨日、一昨日と休みだったじゃない」
「そうだけどさぁ」


肩のあたりで切りそろえた髪の私とは対照的に、腰まで届く長い髪を持つ彼女は、真夏日になるらしい今日は暑いからか、歩きながら器用にクリップでひとつにまとめている。
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