君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「ふー。いいよ」


彼がソファの上で正座をするので噴き出してしまった。

だけど、両親が私の婚約破棄で心を痛めたことをわかっているのに、結婚という言葉を口にしてくれるというのは、彼の気持ちが固まっているという証なのだろう。

私はそれだけでうれしかった。


「それでは」


悠馬さんの緊張が伝わってきて、私の鼓動も速まってしまう。


「もしもし。お母さん、葉月だよ。元気にしてる?」


電話に出てくれたのは母だった。


『葉月! もちろん元気よ。葉月は? なにかあった?』


悠馬さんも過保護だけど、きっと両親も過保護だ。
そんな人たちに囲まれて、私はとても幸せだ。


「ううん。あのね、哲也のこと……ありがと。私、知らなくて。たくさん心配かけてごめんね」


知らないところで守られていたという事実に、胸がいっぱいで声が震える。


『葉月……。そんなこといいのよ。お父さんもお母さんも、あなたのことを信じてるの』


心なしか母も涙声だ。
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