君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「あのね。私、今お付き合いしている人がいるの。会社の上司、なんだけど……哲也のことも知ってて、絶対に後悔させないって言ってくれる優しい人なの」


本人がすぐ隣で聞いているのに面映ゆいが、どうしても伝えたかった。


『そう。よかったわね。葉月が……幸せになってくれれば……。もう、本当にそれだけで』


私はなんて親不孝だったんだろう。
きっと両親は、家に帰りづらくなった私に気づいていて、『帰って来い』と急かさなかったのだ。


「今、その人と一緒にいるの。挨拶したいと言ってて」
『まあ! うれしいわ』


母のテンションが上がったので、ホッとした。

それから悠馬さんにスマホを渡すと、少し緊張の面持ちで話し始める。


「初めまして。一ノ瀬と申します。——あっ、お父さんでしたか」


あれ、もしかして電話を代わったの?

おそらく母だと思って話していた悠馬さんの目が大きくなっている。
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