君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「初めまして。三谷商事の北里と申します」


まずはなにを必要としているのかを探ることから始める。


今日は、化粧品大手『ドゥシャイン』の商品開発部にアポイントなしで訪問した。
もちろん、約束がないので追い返されることを承知の上で。

しかし、時にはこうした大胆さも必要なのだ。
電話では取り次いですらもらえないこともある。


「総合商社の方がなにか?」
「はい、弊社では化粧品の原料を扱っておりまして、ご挨拶に。なにかお困りのことがあれば、是非サポートさせていただきたいと」


白衣を着た担当者が親切にも対応してくれた。
名刺を渡せるだけで十分だと思ったものの「シリコーンオイルもあるの?」と尋ねられ、一気に気持ちが高揚する。


「はい、様々な種類を取り揃えておりまして、ラインナップの中にお気に召すものがなければ、メーカーに手配もいたします」


私はすぐにバッグの中から資料を取り出し、手渡した。
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