君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
彼はやっと表情を緩め。フッと笑みを漏らした。


「一ノ瀬さんは魅力的な男性です。ファンクラブがあるのも薄々ご存知では?」


実は女子社員の間で“一ノ瀬ファンクラブ”が存在する。
その人たちは一ノ瀬さんをこっそり観察し、知り得た情報を共有しているんだとか。

そのファンクラブの面々から、いつも彼の近くにいる私はにらまれてるんだから。


「知ってるよ。あれなぁ、勘弁してほしい。会社にいるときは気が抜けない。なぁ、北里。俺の彼女のフリしない? そうしたらあきらめるだろ」
「人の気も知らないで! そんなことしたら私、刺されます」


ただでさえ冷たい視線を浴びているのに。


「俺が守ってやるよ」


彼はなぜか私にうっとりするような視線を向けたあと、手を伸ばしてきてそっと頬に触れる。

なんなの、これ。
本当に口説かれているみたいじゃない。


「きょ、今日の一ノ瀬さん、ちょっと変ですよ」


焦りに焦ってうつむき指摘をすると、彼は手を離してくれた。
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