君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
二年経っても細やかな彼の気遣いは変わっていなかった。

周りを見渡す余裕があった彼は、ちょっとしたことでも、そして誰にでも声をかけ、私たち部下を絶妙のタイミングで励ましたり、軌道修正したりしてくれていた。


「一ノ瀬さん、一時帰国されたんですか?」


私が気になっていたことを静香が尋ねてくれる。


「いや。一時ではなく完全帰国だ。またここでお世話になるよ」


そうなの? つい一週間ほど前に仕事のことで電話をかけたばかりなのに、聞いてない。

けれども、一気にテンションが上がる。
彼の仕事は完璧かつ、攻撃的。もちろん悪い意味の攻撃ではなく、積極的に動くという意味だ。現状に満足せず次を仕掛けることを常に念頭に置き、リサーチや根回しを忘れない。

そのため、彼に与えられるハードルはいつも高く、歯を食いしばらなければついていけない。

だけど、本当に勉強になるし成長できる。
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