君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
そんなことを話していると、人ごみをかき分け部長が入ってきた。
そして覗いている人たちをシャットダウンするためか、ドアを閉めてしまった。


「一ノ瀬は相変わらずすごい人気だな」
「クライアントに好かれたいですよ。はは」


バツの悪そうな顔で笑う彼は、これほどちやほやされても女性の噂を耳にしたことがない。
まあ、知らないだけですこぶる美人の彼女がいそうだけれど。


「皆、席に戻ってくれ。もう挨拶は済ませたか? 新人は知らないと思うので紹介する。一ノ瀬悠馬くんだ。二年間インドで活躍してもらっていたが、この度帰国することになった」


一ノ瀬さんの隣に立った部長は、すぐに紹介を始めた。


「一ノ瀬です。どうぞよろしくお願いします」


丁寧に頭を下げる一ノ瀬さんに拍手が沸き上がる。


「またライフテクノロジー部門で暴れてもらおうと思う。ということで、彼は部長付けで、ここを引っ張ってもらう。私はスイッチで食品流通事業部に異動することになった」


一ノ瀬さんが部長? 
現・曽根(そね)部長もなかなかできる人だけど、これはさらなる飛躍が期待できそうだ。
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