君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
積極的恋愛宣言
あれから二年近くときは流れたが、私の心の傷が癒えたとは言い難い。


「嫁に行かなかったなんて、聞いてないぞ」
「言ってませんから」


給湯室で一ノ瀬さんから軽い尋問を受けたものの、他の社員が入ってきて会話が続けられなくなってしまった。

しかし私はホッとしていた。
哲也のことなんて思い出したくなかった。



その日は急遽一ノ瀬さんの“お帰りなさい会”が開かれることになった。

急だったので参加できる人だけでということだったが、彼本人に『祝ってくれるよな、もちろん』と釘を刺され、行かないわけにはいかない。

結局、赴任前に一ノ瀬さんと係わりがあった人だけでなく、彼のインドでの数々の武勇伝に興味津々の新人たちも多数参加することになり、十八名の大所帯になった。

いつもより事務職の女子社員が多いのは、一ノ瀬さんのいい男効果といったところだろう。
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