君を愛で満たしたい～御曹司のとろ甘な溺愛～

「話しやすいですよ。ただ、少しでも妥協するとすぐにバレて雷が落ちます。気をつけてくださいね」
「それはそれは。ね、北里は混ざりに行かなくていいの？」


町田さんは女子社員に視線を送りながら尋ねてくる。


「いいですよ、別に」
「北里、本当は彼氏がいるんだろ。あんないい男になびかないってそういうことだよね？」
「いませんよ。私は仕事が恋人だって言いましたよね」
「またまた」


こういう話はしたくない。打ち切りたくてカクテルを口に運び、料理を食べ始めた。
彼もそれを察してくれたのか、それからは料理に手をつけている。

しばらくすると、一ノ瀬さんが立って挨拶に回り始めた。

まだうちの部に来て数カ月の新人たちは緊張顔で、私も最初はああだったななんて懐かしい。


そして、一ノ瀬さんは私の隣にもやってきた。


「北里、飲みすぎるなよ」
「大丈夫です」


飲みすぎたのなんて、あの日だけ。
彼のインド行きを聞いたあのときだけだ。