ひ ま わ り 。
「海斗おはよー」
「よぉ羽瀬!」
「はよー。」
俺、羽瀬海斗は6年1組……というか、人数が少なすぎて1組しかないんだけど。
今日は終業式。
明日から夏休み。
ということでクラスは興奮状態。
「ひなび祭り一緒にいこー」
「いこいこー!」
などなど。
ひなび祭りというのは、浜辺町特有のお祭り。
浜辺町のみんなは知っているが、他の街の人とかは知らないだろう。
……あぁ……お祭り女よ……我達の町でお祭りをしてくれないか……そして有名になって、俺はここの町の市長になったる!
「おーい出席とるぞー」
パンパンという先生の手拍子が鳴り響いた。
「あーそうだ。今年も折原のお見舞い行ってくれる人いるかー?」
そう。
折原 夏芽は入学してから1回も学校に来ていない。
つまり不登校。
なんか重い病気で入院しているんだとか。
「おい今年もゆり行ってやれよ」
「そうだよ」
「えーいやよ。だってあんなやつのとこ行ったってしょうがないじゃない。行きたくないわ。」
ゆりの事、関口 由梨乃。
ゆりは夏芽と小さい頃からの幼なじみらしいけど、ズバズバ言うゆりから見て、何も言わない夏目は嫌いなんだとか。
「じゃあ羽瀬!行ってやってくれないか?」
「はーい!…………ってええぇ!?」
うっ嘘だろ?
家に帰ってからアイス食べて「ウマインデス」見ようと思ったのにいい!!
ゆりはにこにこしながらこっちを見る。
行かなくていいのがよっぽど嬉しいのか。
「羽瀬いいだろ?」
「…………はい。」
こんな状況で「アイス食べてテレビ見たいから無理!」とか言えないし。
……行くしかないか。