眼鏡の奥の表情は
閉会式は滞りなく終了した。
私以外。





吹く直前、楽器の不具合により
音が出ないことがわかったのだ。
原因がわからず、
初の大舞台で、大失敗を犯したのだ。
悔しくて、思わず涙がこぼれた。


「っ、ひくっ、」

そんな私を、センパイが
遠巻きに見ていた。
やがて近づいてきて、

「なに泣いてんの。
俺なんて失敗続きだよ?
こんなの失敗のうちに入んないから!
ね?」
「でっ、でもっ!」
「大丈夫だから。
誰にでもあるから。」



センパイの言葉が
頭から離れない。
顔が熱い。
やだな、センパイのせいだよ?
責任とってよ。
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