愛してるのに愛せない。
「何してるんですか・・・。」

そう問いかけた私の声にピクっと反応する。

「・・・。」

「とりあえず、あそこに行きましょう。」

そう言ったのに返事がない。

「風邪引きます。」

強引に連れて行こうと腕を取ると、思い切り振り払われた。

「触るな。」

そう冷たく発せられた声。

「俺に触るな。」

私を見る目が冷たい。

「・・・触りませんから、その代わり、あの屋根のあるベンチまで行きましょう。」

そう言っても動かない竜王に痺れを切らし、私は再び腕を掴む。

「だから俺に・・・「うるさい!言うこと聞け馬鹿!」

イラッとした私は竜王にそう言い放つ。
おとなしくなった竜王は、私に連れられるまま、屋根のあるベンチへ座る。

「はい、気休め程度にしかならないけど。」

そう言いながら差出たタオルも受取らず、ずっと俯いている。

「・・・・。」

私は、そんな竜王が見ていられなかった。
頭からそっとタオルをかけてあげる。

「・・・小百合さんと話できました?」

「・・・・。」

「・・・そんなにショックですか?お子さんがいて。」

「・・・・。」

「でも。仕方ないんじゃないですかね。竜王の元から消えてもう4年です。
お子さんがいても不思議じゃないです。」

返事をしない竜王にお構いなしにぺらぺらと話す私。
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