愛してるのに愛せない。
「よろしくな。ところで名前・・・。」

「あ、紅雨(くう)です。」

「くーちゃんな!」

陸さんは、笑って握手をしてくれた。
でも・・・

「俺は認めない。」

幹部の一人がそう口にした。

「空・・。」

空と呼ばれたその人は、私を睨む。

「・・・小百合を思い出す。
嫌な気分だ。」

「・・・。」

それもそうだろう。
姉は信じていた仲間を捨てて黙って出て行ったのだから・・・。

「この子は、小百合じゃない。」

「・・・・いいんです。」

フォローしてくれた海斗さんに向かってそう言う。

「でも・・・。」

「いいんです。」

認められないことくらい承知の上でここにいる。
下にいる人たちも私を認めてくれる人は少ないと思う。

「・・・・。」

かまわないと言って笑う私を見て海斗さんは黙る。

「こいつを今日、全員の前に出す。」

「・・・・。」

「顔見せだ。」

「だから、全員集めたのか。」

そう言う海斗さん。
一気に緊張が走る。
認められないと分かってても、結構ダメージは来る。
それがまた来るのかと思うと今にも倒れそうになる。
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