愛してるのに愛せない。
しばらくすると、ドアが遠慮気味にノックされた。

「全員揃いました。」

その声で全員立ち上がり、部屋を出る。
私は、海斗産に連れられて下へと降りる。
緊張と恐怖で足が震える。
そんな私をみた海斗さんは、「大丈夫。」そう言って易しく笑いかけくれる。
それにぎこちなく笑い返すと、咲が、台の上へと立った。

「忙しい中、遠いとこからわざわざ集まってもらってすまない。
今日は、お前らに紹介したいやつがいる。」

そう言うと、私を見る。
海斗さんに背中を押され、その勢いのまま台の上へと上がる。
ここからだと、全員の顔がよく見える。

「紅雨だ。俺の女。」

「・・・はじめまして、紅雨です。」

深く頭を下げた私に集まる視線。

「・・・・。」

ざわざわとしだす倉庫内。
「小百合さんに似てる。」「あれを竜姫にするのか?」など、いろんな声が聞こえる。

「意義がある者はいるか?」

その問いかけに、まっすぐと上がる手。

「・・・言ってみろ。」

「俺は、その人を竜姫だとは認めたくありません。
なんでその人なんですか。
よりにもよって・・・小百合さんに似ている人なんて・・・。」

その声に、賛同するもの、戸惑いを見せるものそれぞれいた。

「じゃあ、お前は、俺の女を守れないというんだな。」

咲の問いかけにその人は一瞬だけ間を開けて

「・・・すみませんが、命をかけて守ろうとはどうしても・・・。」

そう返事をした。

「・・・・。」

その返事を聞いて思わず笑みが零れた。
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