愛してるのに愛せない。
私が倉庫に来るようになってからもう早1ヶ月が経とうとしていた。

「・・・。」

未だ、私は、誰にも認められず、

「あの・・・これ・・・落としたよ。」

そう言って落とした鍵を渡せば、お礼も言われず、汚物扱い。

「・・・・はぁ・・。」

また私はいつもの如く砂浜に一人で座る。

「心折れそう・・・・。」

打ち寄せる波を見つめながら、ふと姉がよく歌っていた歌を思いだした。

「・・・----。」

口ずさみながら砂浜に絵を描く。
なんでここにいるのかも、なんでこんな仕打ちを受けなければならないのかもわからなくなってきた。

「大変だ!!!!」

途中でそんな慌しい声が聞こえた。
気になって倉庫に戻ると、そこには怪我をした人がいた。

「とりあえず治療を・・・。」

奥の部屋へ運ばれる人を見つめる。
過呼吸気味だったな・・・・。
大丈夫かな・・・・。そう思いながら見つめていると、

「紅雨。来い。」

そう咲に倉庫に来て初めて呼ばれた。
咲の目の前に行くと、

「海斗のこと手伝ってやれ。」

そう言われて、奥の部屋へと入る。

「くーちゃん。」

「咲に・・・言われて・・・。」

「ありがとう。」

怪我をしている人は尚も苦しそうに息をしている。

「・・・あの・・・紙袋ある?」

「え?」

「紙袋頂戴。」

そう言いながら、怪我をしている人へ近づくと、その人は私を拒絶した。

「さ・・んな・・・。」

「・・・・私のこと嫌いでもなんでもいいけど、せめて手当てだけはさせて。
別にこんなことで認めてもらおうなんて思ってない。」

「はい!紙袋。」

海斗さんから、紙袋お受取ると怪我をしている人の口へと当てる。

「ゆっくり息して。」

そうしても、力なく、まだ私を拒絶する姿に

「・・・・。」

私は思わず

「死にてぇのか!!息苦しいの楽にさせてあげようとしてるだけでしょ!?
そんなに私は汚いか!?
毎日お風呂も入ってるし、トイレに行ったあとだってちゃんと手洗ってるわよ!!
じゃあ、何か!?皮膚一枚剥いで触ればいいのか!?
そう!!分かったわよ!!」

思いっきりぶち切れて、誰の話も聞かずに、近くにあったカッターで皮膚に切れ目を入れた。

プツ・・・っと血が出たのを見て、唖然としていた海斗さんは慌てて私の手からカッターを奪う。

「何してんのさ!」

「うっさい!!この人が私に治療させてくれないからでしょ!!」

そう言うと怪我をしていた人は、血の気が引いた顔色になり、

「治療してください!!!」

と私に向かって叫んだ。
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