愛してるのに愛せない。
その代わり・・・。

ーーー♪
私の目覚ましは、陸さんか良助くんからの電話になった。

「はい・・・。」

「あ、俺。良助。」

「なにー?」

もそもそと動く私。

「お前今から暇?暇ならどっか行こうぜ。」

時間を見ると、今はPM19:00。
こんな時間からどこへ行こうと言うんだろうか。

「いいけど・・・。22時には、倉庫にいないと・・・。」

「分かってる。じゃあ、今から20分後に、駅で。」

そう言うと電話が切られた。

「なんなの・・・。」

起き上がって、服を着替える。
最近全くメイクなんてしてない。
そんなことを思いながら、メイク道具を横目に準備を続ける。

「よし・・・行ってきます。」

外に出ると、まだ薄暗い空が広がる。
待ち合わせにはまだ時間があるな。
ゆっくり歩いて駅に向かう。

「お待たせ。」

駅に着くと、ベンチに座っている良助くんお見つけて声をかける。

「おう。」

良助くんはまだバイクには乗れない。

「じゃ、車待たせてるから。」

そう言って歩く良助くんの後ろを歩くと、駐車場には黒塗りのメルセデス。

「お待たせしました。」

そう言って乗り込む良助くんにつられて乗りこむ。

「あ。お願いします。」

「おう。」

運転席にいる人とは初対面。

「この子が新しい竜姫か。」

「そうです。」

「小百合とは違うな。似てるけど。」

そう言って笑う運転手さん。
どこに行っても姉の名前がついてくる。
分かってはいるとはいえ、なんだか言われすぎると、だんだんと嫌気が差す。

「でも、俺はお前のほうがいいけどな。」

「・・・ありがとう・・・ございます?」

「なんで疑問系なんだよ・・・。」

「だって・・・。」

お礼を言う場面なのかも分からずに、気づいたら口走ってしまった。
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