愛してるのに愛せない。
それを見送ってから、歩き始める。
もう終電まで時間がない。

「急ごう。」

ここから駅まで、約10分。
終電は、あと15分で来る。
普通に歩いても余裕で間に合う時間。

駅までの道のりの中、一人考えにふけりながら、ボーっと歩いていると、意外と早く駅に着いた。

竜王のことを考えていても埒が明かない。
もうほっておこう。

そう考えに至った私は、改札を通り駅内で椅子に座って電車を待つことにした。

「あと3分か。」

携帯を開いて時間を確認していると、ゆきからメールが届いた。

『結局今日も、竜王見つからなかった・・・。
でも、明日は絶対会う!
おつかれ!気をつけて帰ってね!』

「まだ探してたんだ・・・。」

おつかれ。
それだけ返して、携帯を閉じる。

”二番線に・・・“
電車が来るアナウンスが流れた。
ゆっくりお立ち上がり、黄色い線ぎりぎりに立つ。

「ぎっりぎり!!」

「お前が遅いからだろ・・・。」

私の後ろに、男の人二人が並んだ。
元気だなー。
そう想いながら停まった電車へと乗り込む。
終電だからなのか、意外と乗客が少ない。
いつもは座れない座席も余裕で座ることができた。

男の人は、私とは反対の端っこに座ったようだ。
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