愛してるのに愛せない。
「でも、なんでまた・・・。」

「さーなー・・・。昔から何考えてるかわからんからなー・・・。」

「まー・・・いなくなってあいつ死んだように生きてたくらいだから、それくらい大事な女だったのは分かるけど・・・」

「・・・でも、俺らは従うだけだ。」

そんな会話が聞こえてくる。
絶対お姉ちゃんのことだ。
なんとなく聞いていないふりをして聞き耳を立ててしまったことへの罪悪感を感じながらも、聞いてしまったのは許してほしい。
だって、身内なんだよ!?仕方ないよね!?

「・・・・。」

誰に許しをもらおうとしているのかわからなくなり若干の苦笑いをした。

”次はー・・・“

私の降りる駅に着いた。
もう彼らと会うことはないだろうと席を立つと、彼らも席をたってひとつ隣の扉の前に立っていた。

なんで・・・?

少し不思議には想ったものの、どっちかがこの駅の近くに住んでいるのだろう。と深く考えもせずに降りたのが間違いだった。

電車を降りて、改札を出ると、駅の柱に寄りかかって座るフードを被った人がいた。
明らかに怖い人だと分かったので、私はできる限り遠くを歩いて通ろうと壁際による。

「おー。お待たせ。」

そう声をかけたのは、あの二人組だった。

「・・・・。」

ゆっくりと顔を上げていくフードの人を横目に通り過ぎようとしたときだった。

「小百合・・・!!」
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