僕が君を好きになった理由
「はぁ〜校長の話ってまじどこも長いよな」
隣で朔人がうなだれる。
「仕方ねえよ、ただまじで長かったな」
校長の長い話も入学式も終わり、帰路につく。
俺の家は南高から歩いて15分。
朔人の家も同じくらいの距離だ。
「にしても桜綺麗だなあ」
「お前…似合わねえこと言うなよ」
「ひっでえな!俺だって花を嗜む心はあるぜ」
桜の木が並ぶ並木道。
ちょうど見頃で、本当に桜が綺麗だ。
暖かい日差しに、少し生ぬるい風が心地いい。
上ばかりを見てたけど
ふと、前を見た。
何気なく。
-----目を、奪われた。
長い髪が風に揺れる。
桜を見上げる横顔。
「-----っ」
まるで絵の中にいるようだ。
なんて、綺麗なんだろう。
「詩?どうした?」
「…いや、なんでも、ない」
桜の木の下。君の横顔。
初めての恋だった。