恋。
一
私は、叶わない恋をしました。
私の恋を人に打ち明けたら、皆、きっと笑うでしょう。
「馬鹿げている」
「冗談は止してくれ」
等と言われる方も多いでしょう。
私にも、分かっているのです。
自分のこの恋が、どれほど儚く、馬鹿馬鹿しいものなのか。
分かってはいるのです。
でも、一度この気持ちが恋なのだと気付いてしまったら…
儚くも尊く、馬鹿馬鹿しくも美しい。
私には、あの方以外を好きになんてなれないのじゃないかしら、とも思えてしまうくらい、ふといつの間にか、心酔していたのでした。
その方は、小説家でした。
私がその方の本と初めて出会ったのは、確か小学生か中学生の頃だったと思います。
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