九月一日〜朝から晩まで~
「これ、…テーマなんだよ?」
「丘サーファー!」
違うな、と思う。
「いらねーだろ、麦わら帽子。
これじゃ海賊一味のリーダーじゃね?」
「ハットって言うの!
つば…広くないっ、から…
ギリギリ…違く、見えるよ…!」
「シャツ赤だし。
絶対そうに違いねぇ」
何の罰ゲームだ。
信号待ちで眺めていた釣り人が、
ブロックから竿を振り上げた。
小さな老人の空に描いた見事な放物線に、
思わず小さな口笛が出た。
それを見逃した紗良は身を乗り出し、
すでに動かない風景に目を凝らしている。
「アオイちゃん、アオイくん、
アオちゃん、あっくん…?
アオくん!これにしよ」