九月一日〜朝から晩まで~
第4章 逃避行-午後の冤罪
美術館から少しの場所に、
海水浴場が広がる。
駐車場を真ん中に挟み、
観光名所の灯台がある海側は、
今日もバーベキューや海水浴客でにぎわっていた。
直射日光しかないそこを避け、
木陰の多そうな反対側の山道を登ることにした。
紗良の行きたがる近道と示された道には、
最初から嫌な予感しかしない。
案の定。
別の誘導方式があったはずだと、
ツッコミを入れたくなるほどのハードさであった。
ビーチサンダルとミュールが、
何度も脱げる。
「待って、アオくん…。
助けて…」
「おたすけ代、百億万円。ローンも可」