九月一日〜朝から晩まで~


「水分補給、して」

妖怪は望みを叶えようと顎を上げ、
目を閉じた。

晒される細く白い喉元。
が鳴り立てる蝉しぐれ。

「………」

逆に。

馬鹿な真似までして陥れようと
してくるこいつを、
いっそ絞め殺してしまいたいような。

そうでもないような…。

「あ、…あらあら!
ごめんなさいね!」

「お邪魔しちゃったわねー?
ちょっとあたし達、
通るだけなんで。おほほ!」

この場に最も適した服装の二人組が、
この場に似つかわしくない二人の横を、
素早く通過して行った。

「若い人っていいわねー」

姿なき出口から聞こえてきた一言に、
手でメガホンを作って返事を返した。


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