九月一日〜朝から晩まで~


声をかけられた意味を悟り、
久しぶりに立ち上がった。

終着駅に、赤い電車は到着する。



最悪だ。

立ち入るどころか、
思い出したくもない場所ではないか。

「でも、なんて呼べば…?」

足早にホームに降りる後を、
紗良も追って来る。

「紗良のことは、紗良でいいよ。
先生はなんて呼ぶ?」

「うるせぇ…。
今考えてるとこだ」

これだけ学校に来ていないと、
担任の名前だって忘れるらしい。


見つけたコインロッカーに、
通勤鞄、暑苦しい上着とネクタイ、
そして携帯電話をぶち込んだ。

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