九月一日〜朝から晩まで~


「知らない山道で、
…女の子、一人にさせるなんて…
危ないとか、…思わないの?」

「だって三回目…」

どけ、とばかりに割り込んで来た尻が、
ベンチを揺らした。

「いきなり一人にしないで!
…置いて…、行かないで……」

うつむき、顔を覆ってしまった。

「おい…んな、泣くほどのこと…」

「ダメよォ?泣かせちゃぁ。
あらっ!?
あなたも若いじゃない。嘘つき!
この色男!」

「よく会うわね。
あたし達、通りがかってるだけだから。
おほほ!」

呑気に見悶える二人組が、
シリアスな二人の前を通過して行った。

また助けられた気分だ。


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