九月一日〜朝から晩まで~
要するに、
紗良のかまってちゃんが、
完全に裏目に出たということか。
それはいくら探しても、
いじめなんてないわけだ。
「言いたくなきゃ、構わねぇけど。
…お父さんは?」
こちらは、会ったことがない。
「…ずっと、帰って来ない」
水平線を移動する外国船を眺める横顔は、
今日一番大人びている。
「へぇ……」
「アオくんみたいな強い人には、
全然わかんないでしょ?」
「…どうだろうな」
正直、複雑だ。
家庭の事情では、
教師なんて肩書きはあまり役に立たない。