九月一日〜朝から晩まで~


要するに、
紗良のかまってちゃんが、
完全に裏目に出たということか。

それはいくら探しても、
いじめなんてないわけだ。

「言いたくなきゃ、構わねぇけど。
…お父さんは?」

こちらは、会ったことがない。

「…ずっと、帰って来ない」

水平線を移動する外国船を眺める横顔は、
今日一番大人びている。

「へぇ……」

「アオくんみたいな強い人には、
全然わかんないでしょ?」

「…どうだろうな」

正直、複雑だ。

家庭の事情では、
教師なんて肩書きはあまり役に立たない。


< 39 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop