九月一日〜朝から晩まで~
「…ごめんね、理由…
学校のことじゃなくて」
それよりも。
さっきまで、
邪魔そうに指先に引っ掛けていたミュール。
それをいまさら、
大事そうに抱える理由はなんだ。
「いいよ。
俺に謝る必要ない」
理解出来ない理屈で、
恋人に相談もせずに消えて無くなった人もいる。
母親言葉通りに消えようとした、
紗良は。
なぜ役立たずの教師なんかに、
話してくれるのだろう。
「毎日、電話ありがとうー!
あんなに心配されたら、
好きになっちゃうじゃん。ほんとやめてよ」