九月一日〜朝から晩まで~
これはたぶん、
嫌がらせの続きのやつだ。
女子高生の悩み事を聞いて、
嬉しい自分も気持ち悪い。
宝物のかわりに紗良のくれたのは、
掌にのる白い貝殻。
ずいぶん貴重なものを受け取った。
「…ありがとな」
「うん」
こちらの事情など知り得ぬ紗良は、
ふわふわと笑っている。
もう少しの夕暮れに透け、
背中になにか見えそうになる。
「アオくん、
今日全部紗良の言うこと聞いてくれたね!
大満足です。
電話もいらないよ。もう平気」
平気に見せている方が怖いのだ。
いらない羽は、
へし折ってしまいたい。
どうしたものか、迷う。