九月一日〜朝から晩まで~
「わかった。
じゃあ、おまえがかけてくればいい」
「え…」
「待ってる」
「かけて、いいの…?」
「おう。
あと俺、今日一回誤魔化したわ」
腕を回し、長い髪を引き寄せる。
「水分補給、だからな」
他愛もないが、作り立ての思い出もある。
それを消すのは、今じゃないはずだ。
近すぎる場所で瞬きをした上目使いが、
微笑を浮かべてから閉じた。
名ばかりの短い口付け。
ちょうど、お誂え向きな逢魔が時だ。
だからあなたは信用出来ないと、
あの人なら笑うだろう。