九月一日〜朝から晩まで~


「満足した…?」

腕も唇も高速で離したが、
負けじと紗良は縋り付いてきた。

そのままの勢いで、
砂浜に押し倒された。

「帰りたく、ないっ…」

結局、泣かせた。

汗でベタつく体の上で、
砂まみれの少女が泣いている。

「アオくん!!
抱いて!抱いて!抱いて…!」

「うっせぇ!
おまえは、声がでけぇ!」

いいムードだった隣のカップルから、
批難の目が痛い。



立場上、頭でも撫で、
優しく慰めなくてはならないのだろう。

今までのように中途半端に。

受け入れる覚悟なく、
偽善を振りかざしてきた罰だ。


< 43 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop