九月一日〜朝から晩まで~
「満足した…?」
腕も唇も高速で離したが、
負けじと紗良は縋り付いてきた。
そのままの勢いで、
砂浜に押し倒された。
「帰りたく、ないっ…」
結局、泣かせた。
汗でベタつく体の上で、
砂まみれの少女が泣いている。
「アオくん!!
抱いて!抱いて!抱いて…!」
「うっせぇ!
おまえは、声がでけぇ!」
いいムードだった隣のカップルから、
批難の目が痛い。
立場上、頭でも撫で、
優しく慰めなくてはならないのだろう。
今までのように中途半端に。
受け入れる覚悟なく、
偽善を振りかざしてきた罰だ。