九月一日〜朝から晩まで~
第6章 逃避行-らしくない夜
適当に入ったホテルで、
シャワーを済ませたあと。
嘘のように紗良は落ち込み、
黙り込んでいる。
艶かしいバスタオルの下が、
気になるものの。
二人ともさっぱりとして、
目的はすでに達成されたのだ。
未成年略取誘拐に、
これ以上の罪を重ねずに済む。
「んじゃ、帰るか」
ここに来て解放された、
と喜んだのも束の間。
紗良はさめざめと顔を覆った。
「シャワーがしみると思ったら…、
お尻擦りむけてた…」
「あ、そう。
…ああっ、ローラー滑り台!?」
三度も滑るからだ。
だがそんなこと、
いまさら言っても遅い。