九月一日〜朝から晩まで~


「痛っ…」

治療が必要なのは、こちらだ。

大人の女以外、
まったく興味がないはずだった。

起こり得ないこの動悸は、
ただならぬ病に違いない。

無意識にシャツを開け、脱ぐのも忘れて、
ベッドに紗良を抱え上げた。

「…俺ヤバそうだから、
ピアス外しといたほうがいい」

傷が増えては適わない。

耳元の小さな飾りを外すと、
その手首を紗良が掴んだ。

「海でもここでも外さないんだね。
…腕時計、取らないの?」

それを聞くということは、
気がついている。

「…いいよ、おまえなら取っても」

弱味を隠す意味は、無さそうだ。


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