九月一日〜朝から晩まで~
しかし、学校には来なくなった。
しつこ過ぎる電話には、
永遠と無言で返された。
何度かの家庭訪問では、
自分の部屋から出てさえ来なかった。
久しぶりに紗良の姿を見たのは、
今朝の混雑する駅のホーム。
彼女は一人、
整然とした大人の列から外れ、
先頭車両の乗り場に立っていた。
学校の最寄り駅で、
改札に向かわないとは。
どこに行くつもりなのだろうか。
友達でも待っているのかと、
通勤通学客に紛れ、
その横顔をしばらく眺めていた。
ふわりと羽でも生え、
飛んで行ってしまいそうだ。