天才策士は一途な愛に跪く。
胸騒ぎのする視線に、私はアオイを見上げた。

「ん?どうしたの?チーフ。」

身長の高い彼の青い瞳は、私を映すとにっこりと笑った。

「晶とアオイ君のツーショット写真を記事で
使ってもいいかなー??
映えるし、めっちゃ絵になるよ!!
どうかな?お2人とも・・。」

「私はいいけど・・。私だけの単体より、アオイくんがいた方が絵になるしね。」

「僕は喜んで!!アキラと並んだ写真なんて宝物にしたいくらいです。
遥さん、美しく撮ってくださいね。」

遥はニッと得意気に笑うと、持っていたカメラを構えた。

「任せてよ!!キミはただでさえ、格好いいんだからそのままでも良い被写体だけどね!!」

「光栄です。さ、チーフはこちらに・・。」

アオイに腰を引かれて、並んだ。

こういう所がスマートで、カッコイイけど・・。
・・人によっては好意があるって誤解されそうだよ?

アオイくん!!

「テスト行くね、はい、撮りまーす。」 

  「「バシュ・・!!」」

眩いフラッシュが焚かれて、私は一瞬目を細めた。

その時、遥の後ろで見覚えのある人物の姿を見つけた。

「・・あれ??」

「ちょっと、晶!!ちゃんとポーズ取って!!」

「ああっ、ごめん、遥!!」

謝りながら、アオイと並んで背を正した。


ホールを出て、予め用意しておいたホテルの1室へと入室を促された瑠維は
渋々、部屋へと入った。

「何だよ・・。パーティの開園前に用って・・。」

「すまないな、瑠維。お前に頼みがあるんだ。
森丘さんをこのままにしていいのか?
山科くんに利用されて、彼女が傷ついてもいいのか?」

驚くような内容に、瑠維は父を睨んだ。

「今更だろ、何だよ・・。
急に呼び出して、何を言うかと思えば・・。」

「今更じゃないだろう。
まだ間に合う・・。
彼女をうちに、南條に欲しいと言ってるんだ!!」

「は・・。くだらない!!
父さんはいつもそうだ・・。
晶が決めたことなのに、俺が口出しする
理由はないよ。」

ため息交じりに、下手のベッドの端に腰を下ろして
父に冷ややかな目線を浴びせる。

「そうか・・。よく解った。
正し、1つお前に頼みがあるんだ・・。」

「頼み??何だよ・・。」

「山科メディカルは危険だ・・・。
当時科学者として働いていた彼女の父親を殺したんだぞ?
お前だって、彼女をそんな場所には置いておけないじゃないか!?」

「・・・晶の父親が、殺された!??」

瑠維の瞳は激しく揺れた。

「彼女を守りたいんだよ・・、瑠維。」

「私に協力してくれるか?」
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