天才策士は一途な愛に跪く。
その瞬間だった。
緊張感に包まれたその時・・。
「止まれ、止まらないと撃つ!!」
警官が銃を構えた。
スーツの上着を脱ぎ捨て、金色の髪を振り乱して現れたアオイが
怜の後方から、いきなりその姿を現した。
「「 ・・ガン・・!!!!」」
鈍い音が私の頭上で響いた・・。
怜の頭を銃の銃身で殴りつけて、突き飛ばす。
投げ出された私の身体にも衝撃が走る。
「・・うわっ。」
ドサッ・・。
「おっと・・。大丈夫?」
地面に倒れた私を、聖人が駆けつけて抱きかかえた。
聖人は安堵の表情を浮かべて、私を見下ろした。
「・・・・うわああああっ!!!」
起き上がった怜は、ナイフを強く握ってアオイを睨みつけた。
ナイフを振り回しながら怜が襲いかかる。
アオイは口角を上げて、向き合った。
「危ないなぁ。・・でも、彼。キレちゃってるみたいだね。」
余裕の表情で剣先を交わすアオイに驚いた。
素早い動きで怜を交わしながら、怜の腹部を二発蹴り上げた。
すごい・・。
私はその光景を呆然と見守る。
鮮やかな攻防に周りは息を飲んで見守る。
最後の腹部への蹴りが急所へと決まると
怜は、ズルズルと身体を持ち崩した。
その瞬間に、一斉に警官が取り押さえにかかった。
大勢の警官が怜を押さえつける。
歪んだ顔で、何かを叫んでいる怜の姿が痛ましかった。
私はへたり込んだまま、動けなかった・・。
腰に力が入りそうもない。
「・・大丈夫か!??」
アオイと瑠維は急いで私の元へと駆けつけた。
「うん・・。私は無事だけど・・。腰が・・立てない。」
「流石に焦ったな・・。危機一髪だったよ。!」
「タイミングが難しくて怖い思いさせてごめんね、チーフ。」
アオイが爽やかな笑顔で笑った。