天才策士は一途な愛に跪く。
私は、唖然として大股で立ち尽くしていた・・。

目が覚めてから、4時間のフライトで着いた先は信じられない景色が広がっていた。

飛行機の中で、私はシャワーを浴びた後で用意されていた身軽なワンピースに着替えた。

空港から車で15分程走った先の門に着いて、更に7,8分走った先の景色・・。

「すごいお庭ね・・・。
ノルバンシュタイン城みたい・・。」

「模して建てたらしいけど、君のお屋敷だよ?
ノルバンシュタイン城を見学したいなら、今度連れて行ってあげるよ!!」

そう言って、アオイは嬉しそうに微笑んだ。

身に着けている水色のストライプのシャツが似合っていた。


「・・・あ、うん。ありがとう。いや、そうじゃなくて・・!!」

右翼と左翼が対象に広がっている宮殿のような造りに、目を丸くする。

「ん??」

「本当に、これが・・私のお屋敷なの!?」

ゴクリと喉を鳴らした。

「まるで白亜の城じゃない・・・。空恐ろしいわ。」

私の東京で暮らしていたマンションの部屋が、
まるで犬小屋程度の規模・・。

「マックスブラント家は、王家にも代々嫁いできた由緒正しい家だからね。
王家のお姫様や、王子様もこぞって遊びに来る場所なんだよ。」

私のポカンとした表情を見て、アオイは面白そうにクスクス笑う。

「へー・・・。そう、そうなんだ・・・。」

全くもってついていけない会話に、口を開けたまま白亜の城を見つめていた。

「さ、おいで。アキラに城の中を案内するよ!!みんな待ってる・・!!」

アオイは、嬉しそうに青い瞳を細めて笑う。

「ほら、アキラ!!こっちだよ!!」

私の手をぐいっと引っ張ると、明るく声を弾ませて走りだした。

入り口に続く扉に向かう階段を駆け足で登った。
子どものように嬉しそうに笑うアオイに、私は少しだけ笑顔になった。

全然、自分の人生にはついていけないんだけど・・!!

でも、ここが私のルーツ・・。

そう思うと、とても感慨深かった。

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