天才策士は一途な愛に跪く。

手に取った薬指に、大きな紺碧の石とダイアモンドが散りばめられた
豪奢なリングがそっと指を通る。

その冷たさと重さを感じて驚いた。

「これ・・。ダイヤモンドと、ロンドンブルートパーズ??」

「そうだよ。君を守ってくれる誕生石だよ。一生、僕が君を守るって証。」

そんなの・・。

わたしの答えなんて、一択しかなかった。

「はい・・。私と一緒に、幸せになってください!!」

その答えに、琥珀色の瞳は細められた。

「嬉しいの・・。有難う。大好きだよ、聖人くん!!」

晴れ渡るような笑顔と共に、
跪いた姿勢の聖人の首に腕を回した私は彼の胸へと飛び込んだ。

「晶・・。僕も。」

幸せだった・・。

聖人の気持ちが、全てが繋がって今になる。

どうしても、消えない気持ちだと噛み締めて目を見合わせる。

微笑みあった私達は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。


数人の足音がこちらを目掛けてやってくる。

私は驚いて顔を上げると、見知った顔が嬉しそうにほほ笑んでいた。

「美桜ちゃん・・、二条くんに・・。瑠維と遥まで!?ええっ・・。」

「良かったー!!!晶ちゃん、幸せになってね。お兄様も、おめでとう!!」

ポカンとした私に、美桜ちゃんが抱き着いてきた。

「美桜っ、危ないだろ・・!!飛びつくなって。」」

そう言って、固く抱き着く美桜を引きはがそうとしていた。

二条くんの言葉に、頬を膨らませた美桜ちゃんが
未だに私に巻き付いて離れなかった。

聖人と目を合わせて笑った。

  カラカラ・・・。

車椅子の車輪がゆっくりと私たちのほうへと歩み寄ってくる。

車椅子から、優しい蒼い瞳を細めた父が嬉しそうに笑った。

「おめでとう、2人共。心から祝福するよ。」

「・・聖人くん、晶を宜しく頼むよ。」

「はい。色々とお気使い頂きました・・。有難うございます。」

「お父様・・!!ありがとう・・。」

瑠維と、遥の姿にも私は驚いていた・・。

みんな心配して会いに来てくれたんだ。

いつも側で応援してくれる友人達に私は心から、感謝した・・。

「おめでとう・・。良かったな!!」

「・・瑠維!?瑠維までいると思わなくて・・。」
< 168 / 173 >

この作品をシェア

pagetop