天才策士は一途な愛に跪く。
「居てよ。頼むから・・。僕の側に居て欲しい。」
嬉しくて涙が頬を伝う。
誰かにこんなに全力で必要とされたことなんてなかった。
大好きな人が、私に居て欲しいと言ってくれた。
何でこんな風に、
彼が伝えてくれるのかがこの時は解らなかった。
だけど、嬉しかった。
彼が生きて、私の前に現れてくれた・・。
そして、私と一緒にいたいと思ってくれている。
今の瞬間だけで、生まれて来て良かったのだと初めて思った。
「今はまだ君に話せないことも多くある・・。
だけど、この気持ちは嘘偽りないから。
僕が君を守るよ・・。あの日は、行けなくてごめん。」
「ううん!!いいの。
貴方が生きていてくれれば、、私はそれだけで嬉しいから。」
涙をそっと拭いながら、私の頬に温かい手が触れる。
美桜からは訳あって病院のベッドの上で、
聖人は10年以上眠ったままだった話を聞いていた。
あの日、私は約束の場所に来なかった彼を心配して実家に会いに行った。
執事から聞いた言葉に耳を疑って、
帰り道はどうやって帰ったのかも覚えてないほどの衝撃を受けたのだった。
美桜からは、聖人に起きた詳しい話は聞かなかった。
数年前に聖人の父は逮捕され、
権力とマスコミまで掌握していた山科グループは根幹が揺らぎガタガタになってしまった。
胸を痛めたあのニュースに、聖人と二条慧は関わっていたと聞いた。
今、彼が眠りから覚めて目の前で笑っている。
その事実があるだけで。
周りの喧騒の音など耳に入らないくらい、私は聖人と二人だけの世界にいた。
ぎゅっと強く抱きしめられた私は、
その強い腕にそのまま明かりが再び灯るまで包まれたままでいた。
彼がどうして私を望んでいるかなんて今は解らない。
どんな理由があったのだとしても、彼の言葉を信じたかった。
どんな未来が待ってるとしても
、彼が目を開けて穏やかに笑ってくれていればそれだけでいい。
私はそれだけで、大丈夫だって思えた。
「好きだよ、晶・・。」
長い睫毛と、甘くとろけるような囁きに私は頬を染めた。
「私も・・。ずっと好き、貴方が好きです。」
大きな瞳を彼へと向けると、聖人は目を細めて笑った。
「君の瞳が好きだよ。
・・青みがかったビー玉のような不思議な色が。」
コンプレックスだった瞳の色は、成長と共に茶色が混じっていた。
近づかなければ、青色だと気づかない程度に落ちついていた。
恥ずかしくなって、また瞳を反らそうとする。
そっと降りてきた影に捕らわれると、再び口づけで動きを封じられる。
ピアノの音楽は懐かしいあの曲を奏でていた。
私が最期のコンクールで弾いたあの曲だった。
嬉しくて涙が頬を伝う。
誰かにこんなに全力で必要とされたことなんてなかった。
大好きな人が、私に居て欲しいと言ってくれた。
何でこんな風に、
彼が伝えてくれるのかがこの時は解らなかった。
だけど、嬉しかった。
彼が生きて、私の前に現れてくれた・・。
そして、私と一緒にいたいと思ってくれている。
今の瞬間だけで、生まれて来て良かったのだと初めて思った。
「今はまだ君に話せないことも多くある・・。
だけど、この気持ちは嘘偽りないから。
僕が君を守るよ・・。あの日は、行けなくてごめん。」
「ううん!!いいの。
貴方が生きていてくれれば、、私はそれだけで嬉しいから。」
涙をそっと拭いながら、私の頬に温かい手が触れる。
美桜からは訳あって病院のベッドの上で、
聖人は10年以上眠ったままだった話を聞いていた。
あの日、私は約束の場所に来なかった彼を心配して実家に会いに行った。
執事から聞いた言葉に耳を疑って、
帰り道はどうやって帰ったのかも覚えてないほどの衝撃を受けたのだった。
美桜からは、聖人に起きた詳しい話は聞かなかった。
数年前に聖人の父は逮捕され、
権力とマスコミまで掌握していた山科グループは根幹が揺らぎガタガタになってしまった。
胸を痛めたあのニュースに、聖人と二条慧は関わっていたと聞いた。
今、彼が眠りから覚めて目の前で笑っている。
その事実があるだけで。
周りの喧騒の音など耳に入らないくらい、私は聖人と二人だけの世界にいた。
ぎゅっと強く抱きしめられた私は、
その強い腕にそのまま明かりが再び灯るまで包まれたままでいた。
彼がどうして私を望んでいるかなんて今は解らない。
どんな理由があったのだとしても、彼の言葉を信じたかった。
どんな未来が待ってるとしても
、彼が目を開けて穏やかに笑ってくれていればそれだけでいい。
私はそれだけで、大丈夫だって思えた。
「好きだよ、晶・・。」
長い睫毛と、甘くとろけるような囁きに私は頬を染めた。
「私も・・。ずっと好き、貴方が好きです。」
大きな瞳を彼へと向けると、聖人は目を細めて笑った。
「君の瞳が好きだよ。
・・青みがかったビー玉のような不思議な色が。」
コンプレックスだった瞳の色は、成長と共に茶色が混じっていた。
近づかなければ、青色だと気づかない程度に落ちついていた。
恥ずかしくなって、また瞳を反らそうとする。
そっと降りてきた影に捕らわれると、再び口づけで動きを封じられる。
ピアノの音楽は懐かしいあの曲を奏でていた。
私が最期のコンクールで弾いたあの曲だった。